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第4回研究集会

%e8%a6%b3%e5%85%89%e5%ad%a6%e8%a1%93%e5%ad%a6%e4%bc%9a20170219第4回研究集会は、下記の通り開催いたします。
※内容につきましては、予告なく変更することがございます。ご了承ください。

  • テーマ: ダークツーリズム研究の深化へ向けて
  • 日時: 2017年2月19日(日) 12:30 受付開始 13:00 開始
  • 場所: 和歌山大学(和歌山市栄谷930)観光学部 T101教室 →アクセス
  • 共催: 和歌山大学観光学部、和歌山大学国際観光学研究センター
  • 参加費: 無料
  • 懇親会:(2月15日更新)
    ※18時30分開始 @ムジカカフェ(和歌山県和歌山市中573-19)
    ※会費5000円
    ※懇親会のお申込みは 2017年2月6日(月)とさせていただきます。ご了承ください。
  • 参加申込: こちらよりお申込みをお願いいたします。
  • 申込締切 2017年2月18日(土)
    ※当日のご参加も可能ですが、資料がお手元にご用意できない可能性がございますので、ご了承ください。
  • なお、前日に和歌山市内にて交流会を開催いたします。詳しくはこちらをご覧ください。

タイムスケジュール

12:30- 受付開始
13:00-13:05 司会開会挨拶
13:05-13:15 開催校挨拶
13:15-14:15 第1部 講演 Professor Richard Sharpley
20 Years of Dark Tourism Research: Which way now?
14:15-14:25 休憩
14:25-14:30 第2部 研究報告開始挨拶
14:30-15:05 第1報告 深見聡
「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」とダークツーリズム
15:05-15:40 第2報告 薬師寺浩之
孤児院ボランティアツアーにおける孤児の貧困や不幸という「ダークネス」
15:40-16:15 第3報告 間中光
災害を起因とする観光展開とその影響―被災地を旅することはダークツーリズムなのか―
16:15-16:25 休憩
16:25-17:25 総括・質疑応答(進行:遠藤,質疑応答:4名)
17:25-17:30 司会閉会挨拶
18:00- 懇親会

前日に和歌山市内にて交流会を開催いたします。詳しくはこちらをご覧ください。

要旨

  • Professor Richard Sharpley
    20 Years of Dark Tourism Research: Which way now?
    The term ‘dark tourism’ was coined in 1996. Although previous academic work had addressed the phenomenon, this marked the beginning of the identifiable and systematic study of the provision and consumption of tourism at places and/ or events associated in one way or another with death, suffering and the macabre and, over the twenty years that have since elapsed, the dark tourism literature has increased significantly in both volume and scope. On the one hand, this has contributed to a much deeper and more nuanced understanding of what constitutes ‘dark’ sites / attractions and how and why tourists experience them; on the other hand, however, it has also contributed to continuing debates surrounding the academic foundations and validity of the concept of dark tourism, to the extent that some suggest it has evolved into an overly broad, meaningless and unhelpful term that distracts from more focused, discipline-specific research into the relationship between tourism and dark places. The purpose of this paper is to address this debate. Briefly tracing the development of dark tourism research over the last two decades, it highlights in particular two dominant perspectives, namely, the supply (management / interpretation) perspective and the demand (‘dark tourist’/ thanatourism) perspective. In so doing, it identifies fundamental weaknesses in the concept of dark tourism, suggesting that, despite twenty years of research, consensus over definitions and the validity of dark tourism as a theme /focus of research remains elusive. Indeed, it argues that dark tourism is perhaps better considered neither a ‘product’ nor a specific form of tourism consumption but, rather, a context within which the role and influence of dark sites / attractions as mediators between dark events they represent and the tourists who visit them may be better understood and managed. From thus perspective, the paper concludes with suggested future research directions.
  • 長崎大学 深見聡
    「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」とダークツーリズム
    本遺産は、世界文化遺産登録を目指す過程で、2016年、ユネスコの諮問機関であるイコモスから「日本国におけるキリスト教の歩みは、禁教(潜伏)期にこそ顕著な普遍的価値」が認められ、現状のままでの登録は非常に困難であると指摘された。それをうけて、長崎県は、構成資産の入れ替えにとどまらず、遺産全体の名称を大幅に変更するといった変更を強いられた。すなわち、信徒への迫害や弾圧、反乱や鎮圧、改宗をめぐる軋轢といった、いわゆる「負」の歴史を中心とした物語性の確立が、登録にあたっての大きな関門となったのである。すなわち、構成資産をめぐる観光も、必然的にその角度からの展開が図られていくことになるだろう。その際、ダークツーリズムの手法は、前面に負の歴史に対峙し祈りの旅であることから、観光客に事前にそれらの物語性について扱うという事前了解が得られやすい点から、有益性が認められる。一方で、復活期の教会群を中心に遺産登録に向けた活動に理解を示してきた地域コミュニティは、そのことを受容しているのか、注目を怠ってはならない。今回の報告をとおして、構成資産を継承してきた住民意識や、ダークツーリズムが本遺産をめぐる旅においてどのような役割を担いうるのか、ともに考えてみたい。
  • 奈良県立大学 薬師寺浩之
    孤児院ボランティアツアーにおける孤児の貧困や不幸という「ダークネス」
    本発表では、日本人が参加する孤児院ボランティアツアーにおける、孤児の貧困や不幸という「ダークネス」のありさまを考察する。近年、大学学部生を中心とした若年層の間で、開発途上国の孤児院でボランティア活動を行うツアーに注目が集まっている。「国際貢献」という利他的な行動の結果得られる自己発見や自己成長(つまり、利己的な満足)を期待できることが、注目を集める理由である。ツアー催行者のマーケティングメッセージや参加者の体験談では、孤児院ボランティアツアーはグローバルな不平等を改善させることができる良いツーリズムであると称賛される傾向が強い。一方で、多くの学術研究者やジャーナリストの間では、その新植民地主義的な性格や、孤児の商品化への批判、さらに「国際貢献」の度合いに関する懐疑的な意見が強い。ボランティアツアーを受け入れる孤児院の空間を観察してみると、孤児院の運営者が孤児のツアー参加者に対する言動や振る舞いを指導したり、ボランティア空間の「無菌化」が施されていたりすることがわかる。さらにツアー参加者の経験に関する語りや、孤児との交流に関する満足度は、これらの影響を受けている。つまり、孤児院ボランティツアーでは、孤児の貧困や不幸という「ダークネス」でさえも巧みに演出されているのである。
  • 和歌山大学 間中光
    災害を起因とする観光展開とその影響―被災地を旅することはダークツーリズムなのか―
    2011年に発生した東日本大震災の復興過程では、「被災地を旅する行為」をめぐり、肯定派・批判派、双方から様々な言説が示され、注目を集めた。一方、観光学を中心とした既存研究では、こうした「被災地を旅する行為」をダークツーリズムに内包されるものとして捉えており、悲しみや記憶・教訓を継承する機能、及び防災教育への活用に注目して論を展開する傾向にある。本発表では、こうした「被災地を旅する行為=ダークツーリズム」とする図式を批判的に検討する。具体的には、2010年に発生したインドネシア・ムラピ山噴火災害を事例に、ダークツーリズム概念では捉えきれない被災地観光の存在とその影響を示し、ダークツーリズム概念の再定義を試みる。